爆笑問題・太田さん絶賛の「タイタンの妖女」を読みました
カート・ヴォガネット・ジュニア著/タイタンの妖女
今回はハヤカワ文庫から出ている「タイタンの妖女」という小説を読みましたので、感想と簡単なあらすじを紹介したいと思います。
読んだことのない方など、もし参考になるようであれば嬉しく思います。
概要
英語名「The Sirens of Titan」は1959年に出版されたカート・ヴォネガット・ジュニアのSF小説で、私が読んだのは2009年に発行された浅倉久志さん訳の改訳・新装版です。
また巻末には爆笑問題・太田さんの解説も掲載されています。
この本を読んだきっかけ
私はラジオを聴くのですが、その中に爆笑問題のラジオもあり親近感を覚えている中で、太田さんが大学時代に読んで今でも最高の物語だとおっしゃる「タイタンの妖女」という小説があることを知りました。
その本が太田さんの奥さんが社長を務める、爆笑問題の所属事務所である「タイタン」の名前の由来にもなっているということから、そこまで人に影響を与える作品はどんなものなのだろうと気になったことで読んでみようと思いました。
あらすじ
全てを知る男、ウィンストン・ナイルズ・ラムファード
マラカイ・コンスタント
アメリカのカリフォルニアに非常に幸運に恵まれた人物「マラカイ・コンスタント」という人間がいました。
彼は父親が残した莫大な遺産と、その父親が教えてくれた方法で資産を築いていました。
実体化現象
ある日彼は約2ヶ月に一度起こる実体化現象を目撃するために、ビアトリス・ラムファードに自宅に招かれます。
実体化現象とはビアトリス・ラムファードの夫であるウィンストン・ナイルズ・ラムファードとその愛犬カザックは、宇宙を旅している際に時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)に偶然飛び込んでしまったことにより、波動現象となってしまいます。
そして地球には約2ヶ月に一度自身の自宅であった場所に実体化するのですが、その際に招かれtたマラカイ・コンスタントはウィンストン・ナイルズ・ラムファードからあることを告げられます。
それは、コンスタントは火星でビアトリスと結婚して子供が産まれる。そして水星、地球を経由して最終目的地のタイタンへ行くことになるということでした。
全てを失うマラカイ・コンスタント
それから次の実体化までの間にマラカイ・コンスタントは毎日のようにパーティを開き、お酒を飲んで薬物に溺れ、意識朦朧としていたた中で参加していた女性たちに所有していた油井を全てプレゼントしてしまいました。
さらに所有していたたくさんの会社も手放すなどしてしまい、一文無しになってしまったのです。
そしてそんな時二人組に話しかけられ火星にこないかと誘いを受け宇宙船で火星に向かいます。
火星での出来事
火星でアンクという人物が目を覚ます所から火星編が始まります。
そこには軍隊が大勢整列していましたが、アンクは気がつくと命令によってある人物の首を絞めて死刑を執行していました。
アンクは少し前に記憶を消されており、自分が何者かわかっていませんでしたが首を絞める際にその人物からある部屋を探すように言われました。
その部屋を探すとメモがあり、アンクにはストーニィ・スティブンソンという親友と奥さん、子供が火星にいることが書いてありますが、それは記憶をなくす前のアンクが書いたメモでした。
火星にいる軍隊は地球に戦争を仕掛けることが目的でしたが、ついに仕掛けるそのタイミングでアンクはっ軍を抜け出し奥さんと子供を探しに出かけます。
そして奥さんと子供を見つけますが結局連れ戻されます。
しかし軍隊は地球に向けて出発しており、アンクと、連れ戻しに来たボアズは残っていた宇宙船で地球に向かおうとボタンを押しますが、その宇宙船は自動で水星に向かってしまいます。
地球では火星軍が地球に戦争を仕掛けますが、大した武器を持たない軍はすぐに負けてしまいます。
水星での出来事
宇宙船は侵攻した先で安全な場所に降り立てるように、宇宙船の底にセンサーのようなものを取り付け、地下の洞窟の底に自動で到達するような作りとなっていましたが、地球に行きたかったアンクとボアズはすぐに出発しようとします。
しかし宇宙船の上側にはセンサーがなかったので複雑な洞窟の道を引き返すことができず対策もないままそこで何年も過ごすことになりました。
そこにはハーモニウムという独自の生き物がおり、ボアズはその生物を非常に可愛がっていました。
ハーモニウムは洞窟の中で光っており大群で生活しているのですが、たまに壁に文字のように張り付いてメッセージを伝えてくれます。
何年か経ったある時、そのハーモニウムが「アンク、ウチュウセンヲ ウエシタ サカサマニ シロ」とメッセージをくれたことがきっかけで宇宙船を逆さまにして脱出することにします。
ボアズはハーモニウムに愛着が湧くあまりに、とどまってこの星で生涯を終えることにしたのでした。
地球にやって来たアンク
そしてアンクは地球にやってきますが、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードの自宅でラムファードからアンクの本当の名前はマラカイ・コンスタントだと告げられます。
またマラカイ・コンスタントは過去に莫大な遺産を持ちながら何一つ社会に貢献しなかったとして大衆の前で非難の言葉浴び、そこでアンクが親友だったストーニィ・スティブンソンは自らが首を絞めて殺したあの人だったことを知らされたコンスタントは絶望しタイタンに行くことになります。
マラカイ・コンスタントの子供であるクロノと、その母であるビアトリスも共に行くことになり、一緒に宇宙船に乗りタイタンへと向かいます。
タイタンでの出来事
タイタンにはウィンストン・ナイルズ・ラムファードと、トラルファマドール星人の機械できたサロがいました。
ウィンストン・ナイルズ・ラムファードはタイタンでは常に実体化できる場所でした。
時間等曲率漏斗に飛び込んでしまってからは親友のサロとここで過ごしていました。
サロ
サロがここにきたのは、トラルファマドール星からはるか遠い星にメッセージを届けるためです。
しかし途中で宇宙船が壊れてしまい、助けを求めるために故郷へ光の速さでメッセージを送りました。
しかし移動に何万年もかかるほどに離れていたため、トラルファマドール星人は地球の建造物を使ってサロにメッセージを送りました。
ストーンヘンジや万里の長城などがサロから見るとメッセージになっており、地球の人間を使って宇宙船の修理部品をと届けようとしたのです。
そして、その修理部品はクロノが火星時代からお守りとして持っていた金属の破片で、今回タイタンに来る時に持ってきていました。
ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは時間等曲率漏斗に飛び込んでから過去や未来を見通すことができたので、サロの星が地球を操っていることにも気づいていました。
しかし親友だったのでその事実の目を向けられず、この日までサロに対して問い詰めることができませんでした。
サロもそのことについては理解してもらえないとわかっており、また親友と思っていたためにラムファードには伝えられずにいました。
ついにその話をしたラムファードとサロは喧嘩になり、ラムファードは消えてしまいました。
タイタンでの生活
コンスタントら3人が到着しました。
喧嘩別れのまま終わってしまったサロはその後すぐに自分で自分の体を粉々に飛び散らせてしまいました。
コンスタントはバラバラになったサロを元の形に戻しますが動かず、地球に帰れなくなった3人はタイタンで過ごすことになります。
ビアトリスはラムファードがタイタンにいるときに過ごしていたタージマハルとそのまま同じ建物で過ごしていました。
コンスタントは一人で自給自足の生活をし、クロノはタイタンに住む鳥と一緒に生活していました。
3人がそれぞれで生活しお互いに干渉することがほとんどなく、何十年もそこで過ごした後についにビアトリスは寿命を迎え死んでしまいます。
そのタイミングで戻らないと思っていたサロが実はコンスタントによって直っており目の前に現れます。
そしてクロノが持ってきていた部品によって直った宇宙船で、コンスタントはサロに地球に送ってもらいその後すぐに、ストーニィ・スティブンソンと天国に行く夢を見ながら死んでしまいます。
感想
わからない
読み終わった後に最初に思ったことは、「わからない」です。
先日、ジブリの宮崎駿さん監督の新作映画「君たちはどう生きるか」が公開され観に行きました。
評価は分かれているようですが、私の感想としては「よくわからない」でしたが、今回読んだ「タイタンの妖女」に関しても同じような感覚になりました。
まずラムファードの行動の理由がよくわかりませんでした。
火星軍の地球への侵攻はラムファードが先導していたのですが、なぜわざわざ地球を攻撃するのかわからないこと、そして火星から水星に送ったのもラムファードなのですが、水星では物語に大きく関わるようなことは特になかったので、その意味がわかりませんでした。
お金持ちに対する厳しさや水星でのボアズの決断など、何か訴えかけているのかなということは読み取れる気はするのですが、海外作品の訳の特徴でもあると思うのですがやはり理解が難しかったです。
この作品は第二次世界大戦の影響も受けているようなのでそのあたりの情報も入れてから読むともっと違った感想にもなるもかなと思っています。
何者かに操られているかもしれない怖さ
またこの作品で1番心に残ったのは地球人の行動がトラルファマドール星によって操られていたという点です。
地球人が自分たちで作った素晴らしい建造物たちも他の星からの影響で作らされていたというのは、実際にすごいものだったとしてもショックが大きいのではないかと思います。
もしも自分が誰かに操られていたとしても気づかないとは思いますが(笑)、そう考えると自分で行動することは大事なのかなと思います。
宇宙の始まり
また違う話にはなりますが、宇宙の始まりや存在についても改めて考える機会になりました。
宇宙の始まりに関してはわかっていないようですが、人間が生み出したコンピュータの細かいところの中のさらに細かいところのように、途轍もない大きな生命体が作り出した何かの中の一部として偶然生まれたものなのかなと考えたり
まとめ
SF作品で宇宙を舞台にした作品ということもあり、スケールの大きい話ではあるのでそういった意味では非常に面白く感じた部分はありました。
話がわからなすぎて本質を理解できていないと思いますが、意味を理解しようと思わなければ楽しめる作品ではあったかなと思います。
しばらく時間を置いてからもう一度読んでみたいなと思わされるような作品でした。
「君たちはどう生きるか」の映画がとても面白かったと思う人にとっては楽しめる小説なのではないかと、個人的には思っています。
参考になったかわかりませんが、興味を持っていただけたらぜひ読んでみてください。
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